赤貝はもともと東京湾のものを本場もんと言っていた

小樽港海の幸お届け便り vol.102

赤貝は、江戸前寿司に欠かせない定番の寿司ネタで、昭和40年頃までは東京湾の幕張や検見川で良質の赤貝がたくさん穫れたそうです。当時は値段も手頃で、美味しい二枚貝として人気でした。1975年に発刊された「寿司技術教科書」の江戸前寿司編には、「赤貝はもともと東京湾のものを本場もんと言っていた」という記述があるくらいです。

大きさは殻長10〜12cm程の二枚貝で、殻の表面に放射状の縦溝が42から43本あり、全体が茶色い毛で覆われています。厚みも殻高で8〜9cmになります。赤貝の特徴は、人と同じようにヘモグロビンを含んだ血を持っていることです。貝を開けると赤い血が流れ、身も赤みがあり、それが名前の由来にもなっています。赤貝の漁期は9月〜6月です。その中でも冬から初春の寒い時期のものが一番美味しいとされます。夏に産卵期を迎える赤貝は、7月以降、身が痩せてしまい、あまり美味しくないと言われています。

かつては東京湾に沢山いた赤貝ですが、現在は漁獲量が激減しています。他の国内産地は、三陸や仙台、三河湾、伊勢や瀬戸内、有明などですが、宮城県名取市閖上(ゆりあげ)の赤貝は特に評価が高く、日本一と称され最も高値で取引されています。閖上の赤貝が美味しい理由は、地形が深く関係しています。閖上沖は、奥羽山脈や阿武隈山地からの栄養が名取川や阿武隈川を通じて注がれます。その栄養が赤貝の摂取するプランクトンを多く繁殖させ、とても恵まれた漁場を作っています。赤貝は閖上のものしか使わないという寿司屋も多いと聞きます。輸入物が2000円/kg程度で取引されているのに比べ、閖上の赤貝は良質なもので5000円/kg以上で取引されることもあるようです。

鮮やかな朱色で、しなやかな歯ごたえ、確かな甘み、爽やかな磯の香りが持ち味の、寿司好きにはたまらない貝ですが、現在、国内で目にする赤貝は、韓国や中国から輸入されてくるものが大半を占め、高級寿司店などでしか国産を食する機会はなくなってしまいました。




海と歴史を刻む街から口福のおすそわけ。「小樽港 海の幸お届け便」


かつて江戸から明治にかけて日本各地と北海道を結んだ北前船という商船がありました。
その頃から小樽を大きく発展させてきた「春告魚」とは鰊のこと。
ここから始まった小樽の水産加工の歴史は創業100年を超える企業を作り出してきました。
小樽百貨UNGA↑は、小樽水産加工業協同組合とともに、この街を活かしてきた「海の恵み」を全国の皆様へお届けいたします。


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