圧倒的に西日本での漁獲量が多いタチウオ

小樽港海の幸お届け便り vol.98

タチウオ(太刀魚)とはスズキ目サバ亜目タチウオ科の魚類です。日本近海での分布は、北海道南部から九州南岸の日本海、東シナ海、太平洋沿岸、瀬戸内海などに生息しています。2017年(平成29年)の漁業生産統計を見ると、主な産地は愛媛県で、次いで和歌山県、大分県となっています。そのほかにも広島県や長崎県、鹿児島県、熊本県など九州が多くなっており、かつて大きなシェアを占めていた兵庫県や徳島県などの瀬戸内海産が近年は少なくなっています。圧倒的に西日本での漁獲量が多い魚です。

キラキラと光る銀色の細長い体を持ち、日本語では、その姿かたちが「太刀」に似ていることから「太刀魚」という説と、遊泳する姿が頭を上にし尾を下にして、立ち泳ぎをしているように見えることから来ているという別の説もあります。英語では湾曲した刃を持つ剣を指す「カットラス/cutlass fish」、フランス語も刀の意味の「サーベル/sabre」と呼ばれ、どちらも魚の姿が「刀」に似ていることに由来します。タチウオは洋の東西を問わず「刀」が名前の由来になっているようです。

タチウオには鱗がなく、体の表面はグアニン質という銀粉の層で覆われていて、漁獲時は青っぽいメタリックな輝きを放ちます。このグアニン質は簡単に取れてしまうのですが、昔はその輝く性質を利用してラメの材料にされたり、模造真珠やアイシャドウの光沢材料として使われていたそうです。

タチウオは通年で水揚げされ、年間を通して品質が落ちず、安定した値段で取引される魚です。旬は6月から10月にかけての産卵期で、一層白身に脂がのり、上質な味わいです。俳句でも「太刀魚」は秋の季語となっています。市場の値段は「体長」とも比例し、120cmを超えるものは「ドラゴン」、さらに大きなサイズのものは「スーパードラゴン」や「神龍」などと呼ばれていて、ドラゴン級の場合、市場価格が1kgあたり5,000円を超えることも珍しくないそうです。

淡白な味で火を加えると旨みがグッと増す肉質で、本来の味わいを楽しむには塩焼きがお勧めです。また皮にはうま味がぎゅっと詰まっているので、お刺身で食べる場合も皮つきが美味しいです。バターとも相性が良いのでムニエルや洋風の料理にもよく使われます。煮付けで食べるのも美味ですが、身が柔らかく煮崩れしやすいので調理の際は注意が必要です。




海と歴史を刻む街から口福のおすそわけ。「小樽港 海の幸お届け便」


かつて江戸から明治にかけて日本各地と北海道を結んだ北前船という商船がありました。
その頃から小樽を大きく発展させてきた「春告魚」とは鰊のこと。
ここから始まった小樽の水産加工の歴史は創業100年を超える企業を作り出してきました。
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