捨てるところのない鮭を使った珍味

小樽港海の幸お届け便り vol.82

鮭は日本人に最も広く親しまれている魚の一種と言っても過言ではないと思います。日本各地の貝塚から鮭の骨が発見されていることからも、鮭は相当昔から食されてきたことがわかります。平安時代には、儀式に使う献上品として鮭が使われていたという記録も残っています。そんな昔から日本人に愛されてきた鮭を使ったお酒に合う珍味をご紹介します。

まずは「ルイベ漬け」です。ルイベとは鮭や鱒を使った北海道の郷土料理で、凍った食感と、口の中でだんだんと溶けていく味わいが特徴です。元来はアイヌ料理の一種と言われていて、北海道の北の地域に住むアイヌ民族が冷凍保存した鮭を凍ったまま切り分け、溶けかけたところに塩をかけて食べたのがルーツのようです。アイヌ語の「ルイペ」が語源です。

「ルイベ漬け」とは、生鮭とイクラを使用し、醤油や塩などの調味料に漬け込んで冷凍させた海産加工食品のことです。生鮭を凍らせて食べるという共通点はありますが、タレに漬け込んでいるので、ルイベとは少し異なる北海道の珍味です。ごはんのお供以外、酒の肴としても親しまれています。

次は「鮭とば」です。秋鮭を皮付きのまま細く切り、海水で洗い、潮風に当てて干したものです。かつてはやはりアイヌ民族の保存食のひとつでした。アイヌ語の「トゥパ」が語源で、「鮭の身を切り開き、さらに細長く切り乾燥させたもの」という意味だそうです。

昔は今ほど鮭の捕獲量が多くなかったため、鮭の捕獲場の軒下に干し、乾燥させ貯蔵していたそうです。乾燥させているのでとても固く、スルメのように炙って柔らかくしてから食べるのが一般的でした。最近は固い皮の部分をあらかじめ剥いで食べやすい大きさにカットされた柔らかい食感の鮭とばも多く流通するようになってきています。

次は「氷頭なます」です。「氷頭(ひず)」とは鮭の鼻先の軟骨部分を指し、氷のように透き通っているためこのように呼ばれています。

「氷頭なます」は、北海道や北陸、東北などの郷土料理として親しまれていて、お正月の祝い膳でも用いられます。鮭の頭の軟骨を薄切りにし、酢締めにしたなますの一種で、軟骨のコリコリとした食感が特徴です。鮭の頭の軟骨部分は、一匹から少ししかとることができない希少な部位ですので、氷頭なますはとても希少性の高い珍味だと言えます。

最後は「めふん」です。雄の鮭の中骨に沿って付いている背わた(腎臓=血合い)を使って作る塩辛です。色は黒く、食感にとろみがあり、主に酒の肴として珍重されています。またストレスを快復させる栄養素であるビタミンB12や鉄分が豊富に含まれているため、近年は健康食品としても注目されています。アイヌ語の「腎臓」を意味する「メフル」が語源のようです。




海と歴史を刻む街から口福のおすそわけ。「小樽港 海の幸お届け便」


かつて江戸から明治にかけて日本各地と北海道を結んだ北前船という商船がありました。
その頃から小樽を大きく発展させてきた「春告魚」とは鰊のこと。
ここから始まった小樽の水産加工の歴史は創業100年を超える企業を作り出してきました。
小樽百貨UNGA↑は、小樽水産加工業協同組合とともに、この街を活かしてきた「海の恵み」を全国の皆様へお届けいたします。


小樽港 海の幸お届け便
このページの先頭へ