肝パンと呼ばれる秋冬のカワハギ

小樽港海の幸お届け便り vol.107

カワハギはフグ目カワハギ科カワハギ属の海水魚です。フグ目という通り、大きな分類ではフグの仲間ということになります。カワハギには近縁の種類が多く、約24属100種類ほどいますが、日本国内で食用として出回っているのは、カワハギ、ウマヅラハギ、ウスバハギの3種類ほどです。その中でもカワハギが最も高級で、一番味が良いとされています。

名前の由来は、料理する際に厚い皮が頭からツルンと綺麗に剥がせるという特徴から来ています。多くの地域では俗称として『ハゲ』や『丸ハゲ』などとも呼ばれています。さらに丸ごと皮が剥げるというのが「博打で負けると身ぐるみ剥がされる姿」を連想させるため『バクチウオ』とも呼ばれています。ちなみに英名は「filefish(=やすり魚)」で、ザラザラとした皮が名前の由来となっています。実際にカワハギの皮は昔やすりとして使用されていたようです。

カワハギは北海道以南であれば日本全国の海で見られる魚です。北海道を除く青森県から九州南岸の日本海、太平洋沿岸、瀬戸内海と広く分布します。ひし形の身体にすぼまった口という見た目はコミカルな印象ですが、性格はかなり獰猛とされています。比較的浅い砂地に生息し、甲殻類、貝、環形動物などを食べる肉食性の魚です。成魚は大きいもので30cmほどまで成長します。

カワハギはまとまった量を獲ることが難しいため、ブランド産地と言われるような場所はありませんが、比較的瀬戸内海での漁獲量が多く、とくに大分県沿岸はカワハギの漁場が多いことで知られています。また最近は、養殖のカワハギもかなり流通するようになってきました。九州各県や和歌山県、愛媛県、三重県で多く養殖されています。天然物より一回り大きく、肝がしっかり入っていて品質が安定していることから市場で高評価を得ています。

カワハギには旬と呼べる時期が二回あります。「身の旬」と「肝の旬」です。カワハギの身は1年を通して美味しく食べられますが、とくに産卵を終えた夏の時期は、体力を取り戻そうと餌をたくさん食べて身体が大きくなるため「夏が旬」と言われてきました。産卵を終えると身が痩せて味が落ちる魚が多いのですが、カワハギの身は産卵後も美味しく食べられます。通説ではありますが、真夏は出荷されないフグやヒラメの代用に、カワハギの流通量を増やしたため「夏が旬」とされるようになったという説もあるようです。

一方、秋冬はカワハギの「肝の旬」です。カワハギは肝を食べる魚と言われるほど、肝が美味しい魚で、秋から冬にかけて肝は大きくなっていきます。秋冬は肝がパンパンに膨れ上がることから「肝パン」と呼ばれることもあります。一般的に魚は冬になるにつれ、寒さに耐えるために身に脂肪分を蓄えていきます。カワハギは寒くなってくると身ではなく肝に脂肪分を蓄えるため、肝が大きくなるのです。パンパンに詰まった肝で肝醤油を作って食べるカワハギの刺し身は特に絶品です。




海と歴史を刻む街から口福のおすそわけ。「小樽港 海の幸お届け便」


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その頃から小樽を大きく発展させてきた「春告魚」とは鰊のこと。
ここから始まった小樽の水産加工の歴史は創業100年を超える企業を作り出してきました。
小樽百貨UNGA↑は、小樽水産加工業協同組合とともに、この街を活かしてきた「海の恵み」を全国の皆様へお届けいたします。


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