資源の減少が危ぶまれるマグロの王様「クロマグロ」

小樽港海の幸お届け便り vol.57

マグロとは「スズキ目サバ亜目サバ科マグロ族マグロ属」に分類される魚類の総称です。現代の日本語では、マグロ属の中の1種であるクロマグロのみを指して「マグロ」と呼ぶ場合も少なくありませんが、クロマグロ、タイセイヨウクロマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロ、ビンナガマグロ、キハダマグロ、コシナガマグロ、タイセイヨウマグロの8種類です。カジキマグロおよびイソマグロは、和名に「マグロ」を含みますが、学術上はマグロ属ではありません。

全長は60 cmほどのものから3 mに達するものまで種類によって異なりますが、世界の海で見られる魚の中でも、特に大型になる肉食魚です。最も大型種のタイセイヨウクロマグロは、全長458cm・体重678 kgの個体が記録されています。

マグロは、泳いで口に海水を入れ、それをエラに通すことで呼吸しているため、泳ぐのをやめると死んでしまいます。このため、生まれたその日から死ぬ時まで、眠っているときですら、一度も止まることなく泳ぎ続けます。マグロの体は、泳ぐのに適した流線型をしており、鱗は極小さいかほとんど無く、かなり高速で遊泳することができます。瞬間的な最高速度は時速80 kmに達すると推定されています。

泳ぎ続けることで生きるマグロは、その体力を維持するために、大量の食べ物を必要とし、小型から中型の魚類、甲殻類、イカ類などを食べています。海の生態系の中でも食物連鎖の上位に位置している生き物です。

先に述べましたがマグロ属の仲間は8種類です。その中で日本の食卓によくのぼるマグロ類は、クロマグロ、ミナミマグロ、キハダマグロ、メバチマグロ、ビンナガマグロなどがあります。ここではマグロの王様「クロマグロ」についてご紹介します。

クロマグロは別名「本マグロ」という名でも売られていて、最も人気が高く、マグロの中でも最高級品として取引されます。体の背側は青黒く、胸びれは短く、目が小さいのが特徴です。マグロ類の中でもっとも大型に成長し、3メートルを超える記録もあります。熱帯や亜熱帯に生息するメバチマグロやキハダマグロよりトロが多いのは、クロマグロが比較的冷たい海に生息しているためです。若齢期に急激に成長して5歳で約160 cmに達し、それ以降は成長速度が遅くなり、8歳で約200 cm程度、12歳で230 cmくらいに達します。寿命は20年以上と考えられています。

クロマグロは主に北緯20〜40度の北太平洋温帯域に分布しています。主な産卵場所は、南西諸島周辺、日本海および三陸沖です。孵化後は、日本沿岸を、餌を探しながら移動しますが、その一部は、1歳ごろになると太平洋を横断し、アメリカ大陸西岸で数年過ごした後、産卵のために再び日本周辺へ戻ってきます。なお、クロマグロが産卵できるようになるまでは3〜5年がかかります。

クロマグロの漁獲量は、ピーク時には3万5千トンを超えていましたが、近年は1万トン強まで低下しています。その中でも日本は、全漁獲量の約6割を漁獲している世界一の漁獲国です。世界的にクロマグロの需要が高まる一方で、資源枯渇のために減少している天然漁獲を補う形で、クロマグロの養殖が盛んになっています。クロマグロの養殖は、日本とメキシコで行われていますが、2017年の日本の養殖クロマグロ出荷量は1万6千トン弱と、わずか5年で1.6倍に増加しました。この数値は天然クロマグロ漁獲量の倍以上ということからも、養殖クロマグロがポピュラーな存在になったと言えます。

養殖は、その方法によって「蓄養」と「完全養殖」の2種類に分類されます。蓄養というのは、漁獲した天然の未成魚のマグロを、生きたまま生け簀に移し、餌を与えて太らせ、トロを乗せて育てた上で売りに出すという方法です。一方、完全養殖というのは、人工の環境下で生まれ、成魚まで育ったクロマグロから採った卵を孵化させた人工種苗を生け簀で大きく育てる方法で、天然のマグロを漁獲することなく養殖することができます。

完全養殖は、技術的な難しさなどから、現在は日本でのみ行われている手法ですが、人工種苗が用いられる割合はすでに50%を超えています。完全養殖は、クロマグロ資源への影響が無いことから、クロマグロ資源が減少した昨今では大変注目されている技術ですが、持続可能性という点で未だ課題を残しています。




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